北村行政書士事務所

相続総則

相続総則

相続が開始する原因とは?
人の「死亡」です(民§882)。これは現実に死亡した場合はもちろん、居場所が不明で、「失踪宣告」という制度を使って「死亡」を擬制した場合、つまり法律上「亡くなった」ことにする場合にも当てはまります。
相続が開始する場所は被相続人の住所です(民§883)。

相続回復請求権とは?
相続を原因とする権利や義務の移転は、目的物の占有や支配を常に伴うとは限らず、観念的なものであるため、本当の相続人でない者(表見相続人という)が相続人であるかのように振る舞うことによって、真の相続人を害することがありえます。そこで真の相続人が表見相続人に対して、正当な相続権を主張し、相続財産の占有、支配を回復する権利が相続回復請求権です(民§884)。

相続人の順位は?
第一順位は被相続人の子供です(民§887-Ⅰ)。
第二順位は被相続人の直系尊属(被相続人の親、親がいなければ祖父、祖母)(民§889-Ⅰ①本文)
第三順位は被相続人の兄弟姉妹(民§889-Ⅰ②)。
順位とは、第一順位の者がいない場合には第二順位の者が相続人になるということであり、第二順位の者もいない場合には第三順位の者が相続人になるということです。
被相続人の配偶者は上記の者の存在の有無を問わず、常に相続人となります。

第二順位の相続人(つまり直系尊属)が複数いる場合はどうなるか?
例えば、被相続人から見て親と祖父母がいる場合です。この場合は親等の近い人が先なので親だけが相続人になるということになります(民§889-Ⅰ但書)。

代襲相続が生ずる場合とは?
①被相続人の子が相続開始以前に死亡した時、②欠格事由に該当した時、③廃除によって相続権を失ったときです。(民§887-Ⅱ)①の「相続開始以前」とは被相続人の子と相続人が同時に死亡し、その先後がわからないため同時死亡の推定を受ける場合を含みます。
また兄弟姉妹が相続人になる場合において、その兄弟姉妹が相続開始以前に死亡した時や欠格事由に該当した場合にも代襲相続は生じますが、その子には代襲相続権は生じません(民法889条2項は民法887条3項を準用していないため)。

A、子B、孫C、といた場合、Bが死亡したあとにCが死亡した場合はAがCの相続人となりますが、これは代襲相続ではなく、直系尊属でより親等の近い者が相続人となるという規定によるものです(民§889-Ⅰ但書)


一見すると孫であっても代襲相続が生じないケースとは?
たとえばAの子供B、Bの子供Cがいた場合、一見するとCはAの孫のようであっても、BがAの養子でありCがBの養子縁組前の子である場合です(民§887-Ⅱ但書)。

相続の欠格事由とは?
①故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡するに至らせ、また至らせようとしたために、刑に処せられた者。
②被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者。ただし、是非の弁別ができない者、加害者の配偶者及び直系血族は除かれる。
③詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、または変更することを妨げた者。
④詐欺または強迫によって被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、またはこれを変更させた者。
⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者。
(以上民§891各号)ただし相続に関する被相続人の遺言書を破棄した者であっても、当該破棄が相続に関して不当な利益を得ることを目的としたものでなかったときは、相続人となることができます(最判平9年12月8日)

①については殺人の故意があればたとえ未遂であっても「死亡するに至らせようとしたために、刑に処せられた者」であるので欠格事由に該当します(民§
891①)逆にいえば、殺人の故意がない傷害致死によって刑に処せられた者は相続欠格に該当しないことになります。
①の、先順位、同順位についての具体例
「先順位の者を殺害した者」の具体例
AB夫婦間に子供C、Aの父親がDとします。Dが故意にCを殺害し、その後Aが死亡した場合、DはAを相続出来るか?という問題です。
Aに直系卑属がいない状態となるので、直系尊属であるDがAを相続することになるはずですが、DはAの相続について先順位にあるCを殺害してるので、Aの相続について欠格者となります。
「同順位の者を殺害した者」の具体例
AB夫婦間に子供Cがいた場合、CがAを殺害し、のちにBが死亡した場合、CはBを相続出来るか?という問題です。Bの死亡に関して、AとCは本来同順位であり、Cは同順位のAを殺害していますので、CはAのみならずBの相続についても欠格者となります。

廃除とは?
遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、もしくはこれに重大な侮辱を加えたとき、または推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる(民§892)
相続欠格の効果は一定の事由があれば法律上当然に生じますが、相続人の廃除の効果は家庭裁判所の審判によって生じます。

推定相続人とは?
相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう(民§892括弧書参照)。
(まだ実際には死亡していない段階で)ある者が死亡したとしたら相続人となる人のことです。
例→ 夫婦ABとそのあいだに子のCがいる場合、Aが死亡したとすると、推定相続人は配偶者のBと子のCということになります。
もし夫婦ABに最初から子供がいなければ、推定相続人は配偶者BとAの直系尊属となり、直系尊属もいなければ、推定相続人は配偶者BとAの兄弟姉妹となります。
さて、悲しいかな、そんな兄弟姉妹と仲が悪い場合、推定相続人となるその兄弟姉妹に自分の財産を一切相続させたくないならどうすればいいのか?
答えは「遺言によって兄弟姉妹以外の誰かに遺贈すればよい」ということになります。
というのも、兄弟姉妹には遺留分がないので(民§1042-Ⅰ)、遺留分侵害額の請求をすることができないからです。兄弟姉妹に財産を残したくなければ遺言によって他の誰かに遺贈すればよいだけなので、そのため兄弟姉妹に関しては上記のような廃除の手続きをすることも出来ません。廃除は遺留分権利者に財産を残したくない場合の制度です。
遺留分についてはこちら

推定相続人が他の推定相続人の廃除を請求することは出来るか?
廃除するかどうかは、被相続人の意思のみによるため出来ません。

被相続人は廃除を取り消すことは出来るのか?
家庭裁判所に請求することによりすることができます。もしくは遺言によってもすることができます(民§894)

相続欠格者や被廃除者は一切の相続権を失うのか?
一切の相続権を失うのではなく、特定の被相続人についての相続権を失うのみです。
たとえば父を故意に殺害したため父の相続についての相続権は失った者でも、自己の配偶者が死亡した時は、その相続権はあります。また特定の被相続人に廃除された者でも、他の者の死亡に基づく相続については相続権はあります。

相続の放棄は代襲相続の原因となるか?
なりません。たとえばAの子B、Bの子Cがいた場合、Aの死亡についてBが相続を放棄した場合、Bは最初から相続人でなかったものとみなされるので(民§939)、Cが代襲相続することもありません。

廃除された者の子は代襲相続人となるか?
なります。たとえばAの子B,Bの子Cがいた場合、AがBを廃除していた場合は、CがBを代襲して、Aの死亡について相続権を持つことになります。

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